ミッツケールちゃんの「みつける よのなか」blog

世の中のいろんなことを考察して深めたいミッツケールちゃんのブログ。本やテレビ、ニュースについて、あちこち寄り道しつつ綴ります。

考察★又吉直樹のヘウレーカ!#3「金縛りはなぜ起きるのか」

金縛り経験したことあります?ミッツ・ケールちゃんは学生時代よくやられました。
今思えば、あれは霊の仕業じゃなく、受験勉強という心理的な「敵」によるものだったのかも。
そんな仮説を立てるに至った番組をEテレで見たので、放送内容と感想・考察を書いてみます。

4/18(水)22:00~22:45 Eテレ

日常で何気なく感じるフシギを「ヘウレーカ(わかった)!」と解き明かす
浮力について解き明かしたアルキメデスにちなんだ番組で、自然科学が中心


目次

”金縛り”はなぜ起きるのか?

 日本では昔から座敷わらしのいたずらと囁かれてきた「金縛り」。実は、世界共通の恐怖体験だそうで、超常現象として恐れられてきました。

 東大・理化学研究所で「システム生物学」を研究している教授によると、「睡眠を科学することで金縛りは解明できる」。その研究室では、マウスをモデルに、人にも共通の睡眠に関わる遺伝子を探っています。遺伝子の機能を変えて、どの部分が睡眠に大事なのか調べているそう。

金縛りを起こすのが幽霊ならば、生前は我々と同じ法治国家で過ごしていたはずなのに、 無抵抗な人間に霊的な暴力をふるうのは最低だ

かつてそんな持論を披露したという、お笑い芸人で作家の又吉さんが、金縛りをはじめとする睡眠について迫ります。

金縛りを科学で解明すると?

 金縛りが起こりやすいのは、レム睡眠と呼ばれる浅い眠りのとき。このときの脳波と筋肉を考えてみます。脳波が覚醒状態に近く頭を働かせられる状態であるのに対し、筋肉はノンレム睡眠(深い眠り)とほぼ同じ状態。夢で突拍子もないことが起こっても体を動いてしまわないよう、脳がブレーキをかけているらしい。
 頭は目覚めかけているのに体が起ききっていなくて、脳との不一致が生じた結果、「睡眠麻痺」状態になる。これが、金縛りの正体とのこと。普通は目覚めと共に、脳のブレーキが解除されるが突然の目覚めで解除されない事態が起きるのです。

金縛りのときって怖い夢見ない?

 ミッツ・ケールちゃんは学生時代、試験前で勉強しなきゃいけなくて机に向かっているのに、眠ってしまったときに、よく金縛りを経験しました。「寝てはいけない」と「眠い」のはざまで睡魔と闘いながら眠りに落ちてしまった。こんな状態なので覚醒状態とレム睡眠の間で、脳と体が一致していなかったんでしょう。今になって謎が解けました。

 ちなみにミッツ・ケールちゃんは金縛り状態のとき、いつも決まって誰かに攻撃される幻を見ました。自習室なら、通路を通りがかった他の利用者に踏みつけられる。自宅なら、不審者が入ってきて襲撃される。
 番組冒頭の街頭インタビューでも、金縛りのときに怖い思いをするという声が複数ありました。ブレーキがかかっているのに頭では体を動かそうとする、そんなせめぎ合いのパワーが無理にかかった状態が、不快な幻を見せるのかもしれません。車のサイドブレーキが上がったままでアクセルを踏んでしまったときの、車の苦しそうな状態を思い出しました。

自然界の野生動物は金縛りが多いかも?

 睡眠の研究に使われていたマウスたち。睡眠時間の総量としてはヒトより寝ているそうです。でも、まとまって眠ることはなく、1日中寝たり起きたり繰り返している。敵からすぐ逃げられるように ということらしい。
 ここで思いましたが、マウスに限らず自然界を生き抜く野生動物の多くが似たような状況ですよね。敵の襲来を恐れず眠りにつけるヒトでさえ金縛りを体験しているのだから、浅い眠りと覚醒状態を行き来している野生動物にとっては、金縛りってもしや日常茶飯事なのでは?(ある程度の知能がなければ金縛りを実感できないだろうけど)
 学生時代のミッツ・ケールちゃんは”受験勉強”という敵に追われ、野生動物に近い睡眠形態だったのかもしれません。金縛りって、不況とか天災とかおちおち寝ていられないような不安定なときに増えそうですね。

夜になると眠くなるのは時計遺伝子の指令

 体のほぼすべての細胞が持つ「時計遺伝子」が、体内で24時間のときを刻んでいます。とはいえ時計遺伝子の実態は謎で、

・砂時計説
  時計遺伝子がつくるタンパク質の量が一定に達したら24時間、というように時をカウント
・色が変わる時計説
  タンパク質の状態や色が24時間周期で刻々と変わっていくようすから時間を把握する

という二つの説が有力とのこと。いずれにせよ時計遺伝子に従って眠くなったりおなかがすいたり生理現象が起こります。
 眠気が起こるメカニズムは近年明らかになり、脳に入ったカルシウムが神経細胞を休めることによると分かったそうです。このカルシウムを遮断すると、特定の細胞が過剰に活動して興奮状態が続き、幻覚や幻聴が起こる可能性が高い。やっぱりちゃんと寝ないとね、ということでした。

睡眠が分かれば、意識も分かる

 金縛りについてはほとんど解明されたものの、まだまだ謎の多い「睡眠」。睡眠の中枢は脳のどの部分にあって、どの神経細胞が司令塔なのか。複雑な脳のメカニズムが関わっています。

 今回出演した教授が話していた中でもっとも興味を引かれたのは、”眠りは覚醒の裏側”ということです。睡眠が分かれば、起きていること・意識が分かることになり、「”自分”とは何か」という問いに迫れるのではないか。「自分」との距離はゼロだから、取り出して調べたい。そんな思いから、「睡眠」をキーワードに研究を続けているといいます。

毎晩眠りにつくたびに私は死ぬ
そして翌朝目を覚ますとき生まれ変わる マハトマ・ガンジー

↑こんな格言も番組の合間で紹介されていました。

 哲学でもよく話題になりますが、同じホモサピエンスで、似たような肉体をもっているのに、自分と他者を分けるものは何か。ミッツ・ケールちゃんとしては、これからどうしたいと思うかという意思が、私が私たる根本だと考えます。意思が、価値観とかアイデンティティにもつながると思う。
 眠ると意思がストップし、ガンジーの言う「死」の状態になります。そのとき休止している中心部が分かれば、それが科学的な「私」かもしれませんね。