今も昔もふとしたときに感じる「孤独」。
SNSがなかった時代の哲学者レヴィナスは「他者の顔を見つめる」ことで、のっぺらぼうの他人に”人間”を感じたらしい。
SNS映えする写真をUPして自分を演出する現代は、もう少し”他者の顔を見つめに行く”努力が必要なのかもしれないなあ。
新しく始まったEテレの哲学番組を見て考えたことを書いています。
4/12(木)23:00~23:30 Eテレ
「我思う 故に 我 悩みあり」
現代の私たちが抱えるお悩みを、
哲学者の思想や名言を要約した「お考え」で解決する人生相談室
目次
第2回のテーマは「孤独」
世界の距離が縮まったとも言われる現代。
SNSなんかで「つながる」のが当たり前の時代の孤独とは?
テーマだけでいろんな想像が膨らみますね。
今回取り上げられたのは・・・
Ⅰ視聴者のお悩み
上京した新入社員。周囲に馴染めず一生孤独かと不安になる、どうすれば。
春らしさ満開のお悩みですね~
ここで登場したのは、
<孤独のスペシャリスト> レヴィナスの考えた空虚な世界
裕福に育つも、第二次世界大戦で親しい人たちを失い、
家族や友人に囲まれたお互いになんでも分かり合える世界が一転。
見知らぬ人々だけが住む世界が何事もなかったように続くことに愕然とします。
人格や感情、表情もなく、顔すらないただあるだけの存在になった人々の姿を見て、
イリヤ=自分とは関係なく、ただ存在するだけの世界 と名付けたと。
”孤独” について出演者たちも、失恋、借金を経験した折に、
なんでみんな笑ってるんだろう。人の顔=人格なんて、あってほしくない。
と感じたという、My孤独を語っていました。
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私たちの孤独が急性とすれば、哲学者は慢性的に孤独?
余談ですが、ミッツ・ケールちゃんとしては、
私たちの多くが人生で「孤独」に陥るのは、指で数えられる頻度だと思うのです。
だから孤独は ”思い出す” もの。いつか脱出する前提。
それを生涯かけて味わいぬくのが哲学者なのではないかと、推測します。
だからある意味哲学者はみんな孤独のスペシャリストなのでは。
違うか、”思い悩み” のスペシャリストかな。人生相談の相手としてはぴったりですね。
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他者の顔を見つめろ
さて、そんなレヴィナスさんの「お考え」はといえば。
孤独から抜け出るために
他者の顔を見つめることから始めよ
ここでの「他者」とは、いつも親しくしている仲間ではなく、
外の世界に生きる人々のことだそうな。
話し相手としての第二者と、意識していない第三者の違い
ここでスタジオでは、雑談している他者を直視し続ける実験。
出演者が「この人、日々何食べているんだろう」といったコメントをしていましたが、
ミッツ・ケールちゃんも学生時代、
リーダー格だった同級生がクラスメートに囲まれて生き生きと話しているのを
遠目に見て、人となりを推し量った記憶があります。
その後親しくなってから、向かい合って対話するのとは、今思えば違った印象でした。
これが「孤独を脱する」助けになるというのはどういう意味だろう
人の顔を見つめ、何がしかを汲み取る
=その人のことを、人格を有する個体であると認める
というプロセスで、外の世界との垣根が広がっていくような感じかな。
レヴィナスの見た「見知らぬ人だけが住む世界」が、
もともといた「お互いに分かり合える世界」にアップデートされていく?
より平べったく言えば、赤の他人→知人、に昇格した格好でしょうか。
社会全体、マクロで考えれば、
「見つめることで、ありのままの他人を認め合う」現象があちこちで起こる
⇒ 相互に垣根がなくなっていって、社会全体の”孤独”の総量が減る
マイノリティ、多様性を認め合う動きが加速することにつながるとも考えられそう。
番組では、他者を見つめる効果について、
- のっぺらぼうから顔が生まれ、人間に戻ってくるように感じる
- 社会的属性が消えてその人自身が浮かび上がる
と説明していましたね。
都会と田舎の社会構造の違いなんかにも通ずるのかもしれませんね。
アパートの隣室に誰が住んでいるのかも知れない都会では、
人格を考慮することない、”ある住人”。
村社会残る地方では、コミュニティ内の情報ツウなおばさん。
あれれ?こう考えてみると、レヴィナスの言った
孤独を脱するために他者を見つめ、人格を見出しあった先の社会は、
時代遅れの村社会なんでしょうか……。
そういう意味では、冒頭で「つながる現代社会」と書いたけれど、
孤独深まる方向に進んでいる気がしてなりません。
詮索されるのも厄介だけれど。
私たちはどこを目指しているのでしょうか。
レヴィナスさんは、こんな他者の顔の見えないSNS時代に来たら何というかな。
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