数学の法則・ベンフォード
世界中にあふれている数字。
それらの先頭の桁が何の数字なのかをひとつひとつ拾い上げて記録していく。
すると、1が最も多く、次が2、さらに3、4、……と続くことが分かっている。
世に言う「ベンフォードの法則」である。約3割の数字は先頭の桁が1であることが知られている。
グラフにすると理解しやすいこの法則。ネットを検索すると数々の解説ページが出てくる。
それらの正攻法的な解説は他ページにお任せし、ここでは個人的な考えとして、RPG(ロール・プレイング・ゲーム)に例えて考えることを提案したい。
初期メンバーは新参者より戦っている
若い数字ほど出現率が高いというベンフォードの法則。
RPGで、初期から行動を共にしている仲間の方が、後半に登場する新参者と比べて、総合的には出番が多いのと似ている。
ゲーム序盤では、敵が襲いかかってきたときに戦わせることのできるキャラクターは初期メンバーに限られている。
手持ちのポケモンがピカチュウだけだとしたら、バトルするたび繰り出すことができるのはピカチュウのみだ。
ずっとピカチュウのターン。
その調子で100回戦えば、そのまま100回分の経験値をピカチュウは得たことになる。
次にキャタピーを捕まえたとする。
毎回、ピカチュウとキャタピーを同じ割合で繰り出すとするなら、100回戦えば、ピカチュウもキャタピーも50回分の経験値をゲット。
(ただし、1回のバトルで両方を出すトリッキーな手は使わないものとする)
つまり、キャタピー50に対し、ピカチュウは序盤の分も合わせた150の経験値を持っていることになる。
さらに、ポケモンをゲット→手持ちのポケモンからランダムにバトル、を繰り返していく。
そうしていくと全クリ後に振り返ってみれば、捕獲時期が早いポケモンほど、合計の戦闘回数は多いということになる。
ティファはユフィより経験豊富
この話の前提として、そのバトルの時点で選べるメンバーの中からは、誰が選ばれる割合も同じとしている。
ただ実際には、重点的に育てたいキャラクターが優先されることが多いだろう。ポケモンだと、ゲットした時点でキャタピーはレベルが低く、ピカチュウに追いつかせるためバトルに出す回数は多くなるかもしれない。
それなら、FF(ファイナルファンタジー)シリーズの設定で考えてみよう。
FFシリーズでは、途中で仲間になるキャラは、登場時点で既存キャラと同程度のレベルに設定されていることが多い。
FF7で考えるなら、
初期から冒険を共にしているティファの戦う回数が、後半に仲間になるユフィよりもはるかに多いことは明らかだ。
(途中で離脱するなどこちらはこちらで複雑な分、単純比較はできないが、簡略化して考えることにする)
ワンオペ時代の実績を積み重ね
ここで、ベンフォードの法則に戻ろう。
数字として記載される以上、カウントされる対象は当然、有限の数だ。
選ばれる候補には上限がある、つまり、連綿と続く数字の流れをどこかで打ち止めしたものからランダムに選ばれる前提なのである。
どこで打ち止めされるかによって、先頭の数が定まる。
そう考えれば、候補がどこで打ち止めされても含まれている、若い数字の方が出現率が高いことになる。
選ぶ候補が 1 しかなければ、カウントするたびに1の出現数が増える。ピカチュウしかいないときと同様に、ワンオペ状態だ。
候補が 1 2 になれば、1が選ばれる回数は2と同等だが、候補が1しかなかったときの実績も含めれば、1の方が当然出現数は多い。
さらに 1 2 3 に増えたなら、3がこのときの出現数しかないのに対し、1と2はそれまでの実績も含めて出現数が多くなる。
数を選び取る際に、どこかの段階で打ち止めされる前提なら、積み重ねできる分、若い数の方が総合的な出現回数は多くなるのだ。
桁が上がって10の位でも同様だ。
11 12 13 14 15 16 17 18 19
を候補として選ぶなら、先頭1しか出ない。1が出ずっぱり。
候補が11~29の中から2桁の数を選ぶなら、1も2も先頭になるのは同割合だが、1はさっき出ずっぱりだった実績も合わせる分、合計は多くなる。
直感的にも納得できるのではないだろうか。
身近な世界にあてはめる自然科学
ピカチュウも、ティファも、1も、最初期から候補に入っているという点で、他のものよりも回数を重ねる上で有利なのである。
チャンスがほしければ早く参入すること、と考えれば、RPGどころか社会のいろんな場面にも共通しそうな原理だ。
数学や科学を直感的に捉えようとしすぎるのは、専門の人から見ればナンセンスなのかもしれない。
それでもいろいろ身近なものに置き換えて、直感的に考えるのが私は好きだ。
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真面目に勉強するのも良いが、たまには息抜きがてらこんな本で多角的に考えてみるのもおすすめだ。
--数学に関わる記事は、他にこんなものも書いています--
inusarukizi.hatenablog.com
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