ミッツケールちゃんの「みつける よのなか」blog

世の中のいろんなことを考察して深めたいミッツケールちゃんのブログ。本やテレビ、ニュースについて、あちこち寄り道しつつ綴ります。

考察★ニッポンのジレンマ「”人生100年”のジレンマ大研究」

 社会に既にある選択肢に乗っかる生き方では、社会構造が変わったとき置いていかれることになりかねません。 自分がいつ死ぬかも、社会がどう変わるかも分からない現在を生きる中で、能動的に未来を選ぶというのは勇気が必要ですね。 番組で出た話をもとに、考えたことを書きます。

5/27(日)0:00~1:00 Eテレ

価値観の転換期にいる若者は、日本のどこに希望を見出すのか?
社会の枠組みが大きく変わる混迷の時代、新世代が社会における様々なジレンマを論じ合う。


目次

人生100年時代

 最近よく耳にする「人生100年時代」というフレーズ。平均寿命が延びたことで、生き方そのものを考え直す時代がきています。
 このフレーズを使い、現代人の生き方を問うたベストセラー「LIFE SHIFT(ライフ・シフト)」の著者であるイギリス人研究者リンダ・グラットンさんをゲストに意見交換が始まりました。

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

LIFE SHIFT(ライフ・シフト)

”普通の人生”をなぞる生き方が破綻

 人生100年と聞いてまず考えるのは、定年後の時間が長いということ。かつては60歳までバリバリ働いて、おまけ程度に余生を送るという感覚の人が多かったでしょう。 でも100歳まで生きるならば、60代でフリーになってから40年近くも自由な時間があります。今の60代は昔より元気でしょうし。

 そんな中で、65歳になってからアイデンティティが欲しいというのでは遅すぎるというリンダさん。 学ぶ⇒会社勤め⇒引退後という一般的な3つのステージをなぞる生き方をしてきた現代人が、自分自身にあったマルチなステージを選んで生きるフェーズへと移行しているといいます。

 たしかに、人生という舞台の規模が大きくなるほど、みんな共通の”人生セット”ではカバーできない部分が無視できなくなってくるように思えます。100年を前提に、本気で「どう生きていくか」という課題に向き合っていく必要があります。
 となると、定年までは会社に身も心も捧げ、長時間労働で疲れ切っていて、仕事以外のライフワークを模索する余裕がないというのが現況の一番の問題点でしょう。 昨今議論が激化している働き方改革ですが、人生改革とも言えそうですね。

 若者の6割が生涯1社で働きたいというデータがあり、まだまだ自分の人生に対して受け身とも言える日本人。 終身雇用で労働者という立場に甘んじて何も考えずにいられた従来と比べ、先を見越して行動し、変化し続ける能動性が求められているようです。

マルチに生きる

 就職も結婚も一度きり、”一途”が美徳とされてきた常識も変わりつつあります。 人生が長くなったことで、どんな生活スタイルでやっていくかという方針は、途中で変えられるし固執するべきでないのかもしれません。
 ”昔取った杵柄”にこだわって、人生の初期に出会った環境や身につけた技量だけを過信し、時代の変化に目をつぶっていたら100年ももたないでしょう。

 これからは、従来は大きなメリットとされてきた国家資格などのステータスがあだとなりえるかもしれません。
 歯科医薬剤師が街中にあふれ、資格を持っていたら何も考えずにいられた頃とは勝手が違うようです。かつては花形だったパイロットのステータスが落ち込み始めてから随分経ちます。
 社会構造価値観がめまぐるしく変化し、AIの進歩によってなくなる職業も出てくるであろう世の中で、ひとつの仕事に固執するのは大変なリスクなのではないでしょうか。
 安全地帯にいると思っている職業の人も、他人事ではないフェーズに来ていると思います。

 番組内でも意見が出ていましたが、マルチなステージで生きるということは、自分で自分の価値を見極めなければなりません。
 企業勤めなら、所定の初任給からスタートしその後も決められた昇給パターンで、自分の仕事の価値が自動的にお金に換算されていきます。 でも、この前提が破綻し能動的にやっていかねばならない時代には、世の中で自分はどういう価値を持っているかを常に考え続けてそれを増幅させる精神的フットワークの軽さが必要だと思います。

大学で身につけるべきことは

 考え続けなければいけないというのはとても大変なことだし、今ある状況をリセットして別の環境に飛び込むのは勇気がいります。
 そんな新時代の処世術を、大学で身につけるという案を、ここでは提唱したいと思います。

 就職準備のためか、純粋に学問の追求のためか。大学をどう見るかは意見が分かれています。この番組の前回はちょうど「大学とは何か」がテーマでした。

inusarukizi.hatenablog.com

 教育カリキュラムに盛り込まれた知識を言われた通り暗記するという学び方では、仕事を始めても上から言われるがままに働くというメンタリティになるのも無理からぬ話。 しかし、それでは、言われたことをどれだけこなせたか、が価値基準になり、会社のために長時間働くのが正義という発想につながってしまいます。

 教育のあり方を抜本的に見直さなければ、これからの生き方にはなかなかつながらないと思います。
 義務教育までは基礎を学ぶとしても、高校、大学では能動的に世の中で何を成し遂げるかを考える、より多角的な教育が必要になるのではないでしょうか。
 社会での位置づけを考えることは、就職準備のためにも純粋な研究としても無駄にはならないはず。悪くないのでは。



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